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2012年10月18日 (木)

企業開示の新しい潮流 ~統合報告制度~

皆様、こんにちは。

一昨日、企業開示についての研修を受けてまいりました。

テーマは、「統合報告制度(=Integrated Reporting)」。

まだ日本では制度化されていないため、一般的にはまだ周知されていないかもしれませんが、各監査法人は、今、この「統合報告」をとても重要なトピックとして注目しています。

統合報告」とは、新しい企業の情報開示の仕組みのことで、

“組織が、ステークホルダー(利害関係者)、特に投資家に対し、経営戦略、ガバナンス、パフォーマンス及び見通しに関する情報を、明瞭、簡潔、一貫かつ比較可能な形で報告するもの”

であり、

財務面だけではなく、組織の持続可能性に関する非財務情報も含む

ものです。


統合報告」が言われ始めた背景として、経営環境が変化し、

- 金融市場が短期志向となり、中長期的視点に立った企業評価が行われず、金融市場が安定しないこと、

- グローバルな地球環境問題の深刻化、資源需給の逼迫といった持続可能性に関する課題が顕在化する一方で、社会的コスト増大の要因に対して市場がうまく機能していないこと、そして、

- 経営の不確実性が増大し、知的資本の重要性も高まっている中、報告書の利用者が企業の全体像を把握できる情報を企業がわかりやすく提供できていない

という課題が噴出してきたことにあります。

そして、国際的に一貫した枠組みの中で、企業が事業を行う商業上、社会上および環境上の背景を反映できるように、企業の戦略、ガバナンス、業績および見通しについての重要な情報をまとめ上げ、それによって企業が現在およびその将来にどのように価値を創造するかについて、明瞭かつ簡潔に表明することを目的とした中長期的な視点での企業報告を実現するために、国際統合報告審議会(IIRC)が設立されたのです。


IIRCが発行した「統合報告に向けて 21世紀における価値の伝達」というディスカッションペーパーによると、統合報告は、

●戦略への焦点

●情報の結合性(関連性)

●未来志向

●対応性およびステークホルダー包含性

●簡潔性、信頼性および重要性


を報告原則とし、

●組織概要及びビジネスモデル

●リスクと機会を含む事業活動の状況

●戦略目標及び当該目標を達成するための戦略

●ガバナンス及び報酬

●業績

●将来の見通し


を報告要素とするもの、と位置づけられています。


そして、このような「統合報告」を導入することにより、

■企業のビジョン・戦略をより一層明確化し、

■企業に対する社会の理解・評価を大きく向上する

ことを目的としています。


・・・・現在の日本の企業開示制度やIFRSは財務情報の開示が中心ですが、統合報告では非財務情報をとても重要視しているのが特徴です。

個人的には、非財務情報は定性的な部分が多いので、実務的に比較可能な情報開示ができるのだろうか、現状ではかなり難しいのではないか、と感じました。

やはり、「統合報告」を制度化するためには、“何を開示すべきなのか”というガイドラインを明確に示すことがまず重要でしょう。
また、各企業においても、開示する体制をきちんと整える必要があります。
私見ですが、その際、「企業開示」に関する発想の転換がキーになるような気がします。

ただ、ヨハネスブルク取引所では既に「統合報告」の作成が義務付けられており、また、シンガポール証券取引所の上場企業に対し、非財務情報の開示を推奨する法律が制定されたそうです。

したがって、近い将来、日本でも「統合報告」に対応せざるを得ない状況になるかもしれません。
統合報告」が日本に導入されれば、日本企業の実務に大きな影響があることでしょう。
企業開示も税法もどんどん新しくなり、企業の実務もそれに対応してどんどん変わっていきますね。

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小笠原会計事務所
公認会計士 税理士
小笠原 薫子
URL: http://ogasawara-accounting.my.coocan.jp
お問い合わせはこちらから↓
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