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2012年10月 4日 (木)

(雑感)「中小企業の会計に関する基本要領」に寄せて

皆様、こんにちは。

本来ならば、前回に引き続き、「個人事業 vs 会社設立」のトピックについて書くところですが、昨日税理士会の「中小企業の会計に関する基本要領」についての研修を受けてきて、その際に感じたことがあり、今日はそのことについて書きたいと思います。

「中小企業の会計に関する基本要領」(以下「中小会計要領」と呼びます)とは、「中小企業の多様な実態に配慮し、その成長に資するため、中小企業が会社法上の計算書類等を作成する際に、参照するための会計処理や注記等」であり、今年2月1日に公表されました。
(出典: 「中小会計要領」Ⅰ.総論 1.目的 (1)。なお、「中小会計要領」は、中小企業庁のHPで参照することが出来ます。)

また、「中小会計要領」は、平成17年8月に日本公認会計士協会、日本税理士会連合会、日本商工会議所及び企業会計基準委員会により策定された、「中小企業の会計処理等に関する指針」と比べて簡便な会計処理をすることが適当と考えられる中小企業を対象に、その実態に即した会計処理のありかたを取りまとめるべきとの意見を踏まえて作成されたものです。
(出典: 「中小会計要領」Ⅰ.総論 1.目的 (2)。なお、「中小企業の会計処理等に関する指針」は、日本公認会計士協会、日本税理士会連合会、日本商工会議所及び企業会計基準委員会の各HPで参照することが出来ます。)


「中小会計要領」のポイントは、

・正確な財務情報をもって

・経営状況を把握し

・経営改善等に役立てたり

・金融機関への情報提供を行なうこと

で、これらの項目が「中小企業が存続・発展していくために極めて重要」である、ということです。


そして、この背景には、

・中小企業は主に地域金融機関等から資金調達をしており

・中小企業において、計算書類等の開示先は限定的で

・多くの中小企業では、税法を意識した会計処理が行なわれており

・多くの中小企業では経理部門の人的リソースが限られている

があるという内容が、「中小企業の会計に関する研究会中間報告書」(中小企業庁)に書かれています。


ここでは「中小会計要領」や「中小企業の会計処理等に関する指針」の詳しい内容については省略いたしますが、私が少なからず驚いたのは、3点目の

「多くの中小企業では、税法を意識した会計処理が行なわれている」

という点です。

そもそも、財務会計とは、企業に生起する経済事象に関して、企業に直接・間接に関与する外部利害関係者の合理的な判断や意思決定を可能にし促進するために、企業の経済事象を認識・測定し、記録し、伝達(報告)する行為です。

財務会計には、

- 情報提供機能

- 利害調整機能

とがあります。

税法も、日本の企業会計制度を支える法令の一つ(他に、会社法、金融商品取引法)であることには間違いありませんが、税務会計には「課税の公平と租税収入の確保」を目的とした政策的な処理が含まれています。

現実として、多くの中小企業の会計処理が税法に傾いたものとなっているのであれば、その処理によった財務諸表は、あるべき会計処理(=企業の財政状態及び経営成績をそのまま正しく表すもの)から少しずれてしまったものとなっているかもしれません。


私は、公認会計士2次試験合格後約16年間にわたり、都内のBIG4系の監査法人及び税理士法人に勤務いたしました。
会計監査では、企業のあるべき会計処理・表示をとことん突き詰めて考え、学びました。
その上で、税務の実務を経験することにより、「あるべき会計の心」と、「政策的な税法の心」とがある程度わかってきたような気がします。

企業が本当に求めているのは何かということは、あるべき企業会計と政策的な税務処理の両面から包括的に企業を眺めないと見えてこないと思っています。

私は、埼玉で独立開業して日が浅いのですが、まだまだ中小企業の会計・経理実務の現実について理解が不足しているかもしれないと感じました。

「あるべき会計の心」と「政策的な税法の心」を常に持って、現実を的確に把握し、

●経営者に対する財務の安全性と企業の成長のための会計情報

●金融機関等に対する企業の実態を的確に示すための会計情報

に関し、一つ一つの企業のニーズに合わせて最適にカスタマイズしたサービスを提供できる会計人を目指し、日々精進したいと思います。

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小笠原会計事務所
公認会計士 税理士
小笠原 薫子
URL: http://ogasawara-accounting.my.coocan.jp
お問い合わせはこちらから↓
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