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2012年10月 8日 (月)

個人事業 vs 会社設立(3) - 税金以外の要因

皆様、こんにちは。

これまで、事業を始めるに当たって、

- 会社(ここでは株式会社を意味します)を設立するのが良いのか

- 個人事業の方が良いのか

について、税金の面から比較してきました。

今回は、事業を行なうにはどちらの器(形態)が良いのかということについて、税金以外の側面について書きたいと思います。
 

① 元手

会社を設立するためには、多額の資本金が必要であるというイメージがあります。

しかし、平成18年5月1日に施行された会社法により、会社の最低資本金制度が撤廃となった(=資本金が1円でも会社を設立できるようになった)ため、個人事業との違いは実質的にはありません。


② 社会的な信用力

また、「会社には資本金があるから個人事業よりも信用力が高い」とも言われています。

これについては、上記①で説明いたしました通り、実質的には会社と個人事業との差はないといえます。

しかし、中には、個人事業者よりも会社を取引先として選ぶ企業(あくまでも企業の内部ルールとして)もあるようですし、銀行等と取引をする場合に会社の方が信用されやすいという傾向もあるようです。


③ 経営者の責任(リスク)

会社と個人事業とでは、経営者の責任(=負担するリスク)の大きさに違いがあります。


●会社は「有限責任

株式会社の経営者は、自分が出資した金額の範囲内でのみ、債権者に対して責任を負います。
つまり、経営者A氏が会社に100万円出資していた場合、会社の借金が200万円あったとしても、債権者に対しては出資していた100万円までを支払う(=会社の借金が、経営者の個人財産まで及ばない)、ということです。


●それに対し、個人事業主は「無限責任

個人事業の経営者は、出資の金額にかかわらず、債権者に対して無限の責任を負います。
つまり、債権者に借金の全額を返し終わるまで責任を免れることができない(=会社の借金が、経営者の個人財産にまで及ぶ)、ということです。


しかし、現実的には、会社で借入を行なう際に経営者の個人保証になる場合が多く、会社と個人事業とではあまり違いがないことも多いでしょう。


④ 開業の手続・設立費用 

●会社を開業する場合、会社の設立登記のため法務局に登記申請書類を提出し、審査を受ける必要があります。

そのために、

・「定款」(←公証役場での認証が必要)

・「払込証明書」

・「就任承諾書」

などの専門的な書類を作成しなくてはなりません。

そして、これらの手続を自分が行なったとしても、手数料や税金等で約25万円はかかってしまいます。

さらに、税務署等へ必要な届出書類を、所定の期限内に提出する必要があります。


●これに対し、個人事業では税務署等へ開業の届出書類を提出するだけでOKです。

また、この手続には手数料等の費用はかかりません。


⑤ 運営に関する手続

●会社の場合、役員の任期満了や、会社にとって重要な事柄を決定する場合には、株主総会や取締役会を開催し、決議を行なうことが必要です。

また、役員については登記も必要となります。

なお、その際には議事録を作成して内容を記録に残さなくてはなりません。


●これに対し、個人事業では上記のような手続は要求されていません。



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・・・・さて、会社(株式会社)と個人事業とについて、いろんな側面から両者を比較してきましたが、いかがでしょうか。

細かい違いがあるため、全ての業種・業態について、

「会社が良い」

とか、

「個人事業が良い」

などとは断定できないことがおわかりになると思います。

また、経済状況の変動によっても、どちらが有利に働くのかが変わってきます。


重要なのは、細かい項目を調べ、比較することに時間をかけるよりも、


- 自分がどのようなモノ・サービスを

- 誰に売りたいのか

そして、そのためには

- 自分の仕事場(お店、事務所など)を将来どんな風にしたいのか


という原点に帰り、そのためには、会社がしっくりくるのか、それとも、個人事業がピッタリくるのか、を考えていくべきでしょう。
まずは個人事業から始めて、軌道に乗ってから会社へ変更するという選択肢もあるでしょう。


そして、夢を現実のものとするために、

 ★ 経営計画や資金計画をどうするか?

 ★ マーケティングをどうするか?


という大局的かつ戦略的事項について、専門家を利用しながらじっくりと検討し、結論を出すことに労力を割くことが成功の秘訣であると考えます。


事業をスタートするに当たり、起業家の方々が置かれた環境は千差万別です。
企業家の方々の夢や希望、条件についてきちんと耳を傾け、かつ、状況を的確に見極めてアドバイスをしてくれるような公認会計士・税理士を探して、よく相談することが得策であると思います。

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小笠原会計事務所
公認会計士 税理士
小笠原 薫子
URL: http://ogasawara-accounting.my.coocan.jp
お問い合わせはこちらから↓
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