« 2012年10月 | トップページ | 2012年12月 »

2012年11月

2012年11月26日 (月)

外国人の税務~その5: 非居住者と居住者の区分(補足)~

皆様、こんにちは。


外国人の税務について、非居住者と居住者との区分について書かせていただきましたところ、複数の国に滞在する外国人についての質問を頂戴いたしましたので、補足させていただきます。
(注: 「外国人の税務」というテーマですので、説明は外国籍の方を前提とさせていただきます。)



前回(コチラ→http://ogasawara-accounting.tea-nifty.com/hp/2012/11/post-1.html)でも触れさせていただきましたが、

ある外国人の方の滞在地が2ヶ国以上にわたる場合、その方が「日本に住所を有するか否か」については、例えば、住居、職業、資産の所在、親族の居住状況、国籍等の客観的事実により判定されることになります。

これは、滞在日数のみによって判断されるものではありませんので、日本における滞在日数が半分以下であった場合でも、「生活の本拠」が日本にあると認められれば、日本の居住者となる場合があります。

「生活の本拠」がどこにあるのかの判断が困難である場合、

・国内において、継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有する外国人の方は、「日本に住所を有する者」と推定されます。

そして、

日本において事業を営みまたは職業に従事するため日本に居住することとなった外国人の方は、日本における在留期間が契約等によりあらかじめ1年未満であることが明らかであると認められる場合を除き、「日本において、継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有する」ものとして取り扱われます。


逆に、

a) 国外において、継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有する外国人の方は、「日本に住所を有しない者」と推定されます。

この場合、

国外において事業を営みまたは職業に従事するため国外に居住することとなった外国人の方は、国外における在留期間が契約等によりあらかじめ1年未満であることが明らかであると認められる場合を除き、「国外において、継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有する」ものとして取り扱われます。

b) そして、

外国籍の方は、国内において生計を一にする配偶者その他の親族を有していないこと、その他国内におけるその者の職業および資産の有無等の状況に照らし、再び国内に帰って、主として日本に居住するものと推測するに足りる事実がない場合は、「日本に住所を有しない者」として取り扱われます。

上記a)、b)のいずれかに該当する場合は、「日本に住所を有しない者」と推定されます。



・・・・複数の国に滞在する外国人の方が、非居住者に該当するのか、それとも、居住者になるのかについて、実務ではこれらの条件を個々に検討して、判断していただくことになります。


さて、外国の法令によって外国の居住者と判定された方が、日本の法令によって日本の居住者とも判定されてしまった場合、二重課税の問題が発生してしまいます。

その場合、その外国と日本との間で租税条約が締結されていれば、その租税条約の条文に従って、どちらの国の居住者となるかを判定します。
例えば、日米租税条約では、判断要素の1つとして国籍を挙げています。

なお、二重課税の問題を解決するために、両国当局による相互協議が行われることもあります。   

************************************************************
小笠原会計事務所
公認会計士 税理士
小笠原 薫子
URL: http://ogasawara-accounting.my.coocan.jp
お問い合わせはこちらから↓
http://ogasawara-accounting.my.coocan.jp/index5f.html

************************************************************

2012年11月20日 (火)

外国人の税務~その4: 非居住者の税務③非居住者と居住者の境界線~

皆様、こんにちは。

ところで、非居住者居住者を分ける境界線って何でしょうか?

実務上、いろいろ論点があります。


「日本に住所を有するか否か」

・・・・については、客観的事実により判定することとされていますが、状況は常に変動するものですし、ケースバイケースで個別に判断しなければなりません。

●なお、日本において、継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有するときは、「国内に住所を有する者」と推定されます。

この場合、日本において事業を営みまたは職業に従事するため日本に居住することとなった外国人の方は、日本における在留期間が契約等によりあらかじめ1年未満であることが明らかであると認められる場合を除き、「日本において、継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有する」ものとして取り扱われます。


●上記と逆の場合、つまり、国外において継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有するときは、「国内に住所を有しない者」と推定されます。

同様に、国外において事業を営みまたは職業に従事するため国外に居住することとなった方は、国外における在留期間が契約等によりあらかじめ1年未満であることが明らかであると認められる場合を除き、「国外において、継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有する」ものとして取り扱われます。


●たとえば、外国人の方が海外から日本へ赴任してくるとき、アサイメントの期間が1年以上であれば、基本的に、入国した翌日から居住者として扱うことになります。

入国時には社宅等の空室がなくやむを得ずホテル住まいなどをしていて、途中から社宅へ入居したとしても、入国した日から住所を有する者として居住者に該当することになります。


●また、当初は1年以上のアサイメントで入国し、結果的に1年未満で日本から永久出国することとなった場合でも、出国する前日までは居住者として取り扱われ、出国の日から非居住者として取り扱われることになります。


●当初1年未満の予定で日本に赴任した外国人の方が、途中で日本で勤務する期間が1年以上となった場合、1年以上の勤務となったことが明らかとなった日以降居住者として取り扱われます。


●日本に勤務していた外国人の方が、途中から1年未満のアサイメントで国外に勤務することとなった場合でも、その国外でのアサイメント期間が1年以上に変更となった場合は、国外でのアサイメントが1年以上となったことが明らかとなった日から非居住者として取り扱われます。

************************************************************
小笠原会計事務所
公認会計士 税理士
小笠原 薫子
URL: http://ogasawara-accounting.my.coocan.jp
お問い合わせはこちらから↓
http://ogasawara-accounting.my.coocan.jp/index5f.html

************************************************************

2012年11月18日 (日)

外国人の税務~その3: 非居住者の税務②国内源泉所得の課税の仕方~

皆様、こんにちは。

前回ご説明いたしました通り、非居住者は、国内源泉所得のみについて課税されます。

ただ、所得の種類や、国内に恒久的施設(=Permanent Establishment, "PE")を有しているかどうか、により課税の仕方が異なってきます。


非居住者に対する課税の仕方の概要は、以下のようになります。

20121118_2


(注1)措法§37の10の規定により、国内にPEを有する非居住者が行う株式等の譲渡による所得については、15%の税率で申告分離課税が適用されます。
なお、H21年1月1日からH25年12月31日までの上場株式等の譲渡による所得については7%の優遇税率が適用されます。

(注2)措法§41の9の規定により懸賞金付預貯金等の懸賞金等については、15%の税率で源泉分離課税が適用されます。

(注3)措法§41の12の規定により特定の割引債(特定短期公社債等一定のものを除く。)の償還差益については、18%(一部のものは16%)の税率で源泉分離課税が適用されます。

(注4)資産の所得のうち資産の譲渡による所得については、不動産の譲渡による所得及び令§291Ⅰ①~⑥に掲げるもののみ課税されます。

(注5)措法§37の12の規定により国内にPEを有しない者が行う株式等の譲渡による所得については、15%の税率で申告分離課税が適用されます。

(注6)措法§42の規定により特定の免税芸能法人等が得る対価については、15%の税率が適用されます。

(注7)措法§3及び§41の10の規定により国内にPEを有する者が得る利子等(4号所得)及び定期積金の給付補填金等(11号所得)については、15%の税率で源泉分離課税が適用されます。

(注8)措法§8の2の規定により、国内にPEを有する者が得る配当等(5号所得)のうち私募公社債等運用投資信託等の収益の分配に係る配当等については、15%の税率で源泉分離課税が適用されます。

(注9)旧措法§9の3の規定により、上場株式等に係る配当等(内国法人の発行済株式の総数又は出資額の5%以上に相当する数又は金額の株式又は出資を有する個人が支払を受けるものを除く。)、公募証券投資信託(公社債投資信託及び特定株式投資信託を除く。)の収益の分配に係る配当等及び特定投資法人の投資口の配当等については、H16年1月1日からH25年12月31日までの間は7%の優遇税率が適用され、H26年1月1日以降は15%の税率が適用されます。

(注10)措法§8の5の規定により国内にPEを有する者が得る配当等(源泉分離課税が適用されるものを除く。)については、確定申告による総合課税又は申告分離課税(H21年分以後)を受ける必要のないいわゆる配当所得の確定申告不要制度の適用が認められます。

(注11)措法§9の6の規定により外国特定目的信託の利益の分配及び外国特定投資信託の収益の分配については、内国法人から受ける剰余金の配当とみなされます。

(注12)法§5、§6の2、§6の3及び§7の規定により、法人課税信託の受託者は、その信託財産に帰せられる所得について、その信託された営業所(国内又は国外の別)に応じ、内国法人又は外国法人として所得税が課税されます。

(注13)措法§41の21の規定により、投資組合契約を締結している外国組合員でその投資組合契約に基づいて行う事業につき国内にPEを有する者のうち一定の要件を満たすものについては、特例適用申告書を提出することにより国内にPEを有しないものとみなされます。


※法: 所得税法
  令: 所得税法施行令
  措法: 租税特別措置法

 
 



非居住者が、日本国内に源泉のある給与所得、退職所得又は人的役務の提供による所得を有しているが、国外から給与が支払われている等の理由で所得税の源泉徴収(税率20%)が行われていない場合、準確定申告書(=Quasi Final-Return)を提出します。
提出期限は、確定申告書と同様、翌年の3月15日(3月15日が日曜日の場合には3月16日、土曜日の場合には3月17日が期限)となります。

準確定申告書の書式は、国税庁のHPにあります。
  ↓
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/1557_2.htm


●短期滞在者の減免

なお、上記の国内の所得税に関する規定をそのまま適用すると、外国人の方がビジネスで日本にほんの短期間滞在しただけであっても、日本では非居住者の国内源泉所得としてその部分が課税されることとなってしまいます。

そこで、租税条約は、一定の短期滞在者(日本の非居住者でかつ一方の締約国の居住者である個人)に関して定めを設け、人的役務の提供地である源泉地国(=この場合は日本)での課税を免除しています。

免税の要件は、各租税条約により若干異なりますので、各国との租税条約の内容を確認することが必要ですが、おおよそ以下のようになります。

①(この場合は日本における)滞在期間が、課税年度(=その年の1月1日~12月31日)或いは継続する12か月(=入国日から数えた12か月間)を通じて183日を超えないこと
←183日を超えるかどうかを判定する期間は、各租税条約により異なります。

②報酬を支払う雇用者は勤務が行われた締約国(=この場合は日本)の居住者ではないこと

③報酬が役務提供地(=この場合は日本)にあるPEによって負担(=付け替え)されないこと

です。


日本と租税条約を締結していない国では、短期滞在者の減免措置はありませんので、各ケースにおいて、租税条約が締結されているかどうかを確かめることが大切です。

************************************************************
小笠原会計事務所
公認会計士 税理士
小笠原 薫子
URL: http://ogasawara-accounting.my.coocan.jp
お問い合わせはこちらから↓
http://ogasawara-accounting.my.coocan.jp/index5f.html

************************************************************

2012年11月13日 (火)

外国人の税務~その2: 非居住者の税務①~

皆様、こんにちは。

今日は、非居住者の税務について書きたいと思います。


非居住者
は、

 「居住者以外の個人」

と定めており、

一方で、居住者

 「国内に住所を有し又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人」

と定めています。

もう少し詳しく言うと、非居住者は、

●日本に住所がなく

●日本に居所を有している期間が1年未満

●日本の国家公務員・地方公務員ではなく

●日本の国籍を持たず

●日本の国外に居住し、その地に永住すると認められる人

となります。

なお、日本に居所を有している期間が1年未満かどうかは、実務的にはアサイメントの期間などを考慮して判断します。


非居住者には、「国内源泉所得」のみが課税対象となります。
平たく言えば、「外国人の方も、日本で収入を得た分は、ちゃんと日本で税金を払ってね」ということになります。

所得税法上、「国内源泉所得」は、

(1) 国内において行う事業又は国内にある資産の保有・運用若しくは譲渡により生ずる所得

(2) 国内において民法に規定する組合契約等に基づいて行う事業から生ずる利益で、その組合契約に基づいて配分を受けるもののうち一定のもの

(3) 国内の土地、土地の上に存する権利、建物及び建物の附属設備又は構築物の譲渡による対価

(4) 国内で人的役務の提供を事業とする者の、その人的役務の提供に係る対価
例えば、映画俳優、音楽家等の芸能人、職業運動家、弁護士、公認会計士等の自由職業者又は科学技術、経営管理等の専門的知識や技能を持つ人の役務を提供したことによる対価がそれに当たります。

(5) 国内にある不動産や不動産の上に存する権利等の貸付けにより受け取る対価

(6) 日本の国債、地方債、内国法人の発行した社債の利子、平成20年5月1日以後外国法人が発行する債券の利子のうち一定のもの、国内の営業所に預けられた預貯金の利子等

(7) 内国法人から受ける剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配等

(8) 国内で業務を行う者に貸し付けた貸付金の利子で国内業務に係るもの

(9) 国内で業務を行う者から受ける工業所有権等の使用料、又はその譲渡の対価、著作権の使用料又はその譲渡の対価、機械装置等の使用料で国内業務に係るもの

(10) 非居住者に対する国内での勤務に対する給料等、賞与、退職手当、人的役務の提供に対する報酬や公的年金等

(11) 国内で行う事業の広告宣伝のための賞金品

(12) 国内にある営業所等を通じて締結した年金保険契約に基づく年金等

(13) 国内にある営業所が受け入れた定期預金の給付補てん金等

(14) 国内において事業を行う者に対する出資につき、匿名組合契約等に基づく利益の分配

と定められています。


また、その非居住者である所得者の方が、国内に支店、事務所、一定の要件を備える代理人などの恒久的施設(*)を有しているかどうか、といった要素により課税の方法が異なってきます。

(*)「恒久的施設」という用語は、一般的に、「PE」(PermanentEstablishment)と略称されており、次の3つの種類に区分されています。

(1) 支店、出張所、事業所、事務所、工場、倉庫業者の倉庫、鉱山・採石場等天然資源を採取する場所。ただし、資産を購入したり、保管したりする用途のみに使われる場所は含みません。

(2) 建設、据付け、組立て等の建設作業等のための役務の提供で、1年を超えて行うもの。

(3) 非居住者のためにその事業に関し契約を結ぶ権限のある者で、常にその権限を行使する者や在庫商品を保有しその出入庫管理を代理で行う者、あるいは注文を受けるための代理人等(代理人等が、その事業に関わる業務を非居住者に対して独立して行い、かつ、通常の方法により行う場合の代理人等を除きます。)。


次回は、それぞれの課税の仕方の概要について書きたいと思います。

(続く)

************************************************************
小笠原会計事務所
公認会計士 税理士
小笠原 薫子
URL: http://ogasawara-accounting.my.coocan.jp
お問い合わせはこちらから↓
http://ogasawara-accounting.my.coocan.jp/index5f.html

************************************************************

2012年11月12日 (月)

外国人の税務~その1: 納税者の区分~

(以前UPした記事が消えてしまったので、改めて書き直しました。)

皆様、こんにちは。

外国人の方々って、どのように課税されているのだろう(⇒逆に言えば、海外に赴任している日本人はどんな風に課税されてくるのか)、と疑問に思うことはありませんか?

日本にいる外国人の方の税務は、日本人よりも課税の仕方が少し複雑です。

日本の所得税法において、税金を納めなくてはならない個人の納税義務者は、まず、

居住者

非居住者


とに区分されます。


居住者は、さらに、

a) 非永住者



b) 永住者

とに区別されます。


a) 非永住者は、

「日本の国籍を有しておらず、かつ、過去10年以内において、国内に住所又は居所を有していた期間の合計が5年以下の個人」

を言います。


また、b) 永住者は、

「国内に住所を有し又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人のうち非永住者以外の者」、

つまり、

「過去10年以内において、国内に住所を有し又は居所を有していた期間が5年超の居住者」

です。


以前は、非永住者永住者は、

- 日本に永住する意思があるかどうか

- 日本に引き続き5年超居住していたか

という基準で区別していました。

しかし、日本における永住者と判断されると、非永住者と比べてたくさん税金を納めなくてはならない(*)ため、永住者とみなされないように5年以下でいったん帰国し、また改めて入国するという方法をとり、税金逃れをしようとするケースが多発したため、平成18年度税制改正で、「国籍の有無」と、「過去10年間で5年超居住」という基準に改められました。

(*)永住者の課税の詳細については、次回以降に説明いたします。


なお、②非居住者は、

 「居住者以外の個人」

を言います。


次回以降、それぞれの課税の仕方について書きたいと思います。

(続く)

************************************************************
小笠原会計事務所
公認会計士 税理士
小笠原 薫子
URL: http://ogasawara-accounting.my.coocan.jp
お問い合わせはこちらから↓
http://ogasawara-accounting.my.coocan.jp/index5f.html

************************************************************

2012年11月 2日 (金)

税金が返ってくるの?(英語こぼれ話)

皆様、こんにちは。


皆様は、

“Tax return”

と聞いて、何を思い浮かべますか?


それぞれの単語だけサッと眺めてみると、

「え? 税金(=Tax)が、返ってくる(=Return)の?」

と思う方もいらっしゃるかも


“Tax return”とは、所得や状況についての詳細を記入し、収めるべき税金を計算する書類、つまり、「確定申告書」のことです。


法人税の確定申告書は、“Corporation (Corporate) income tax return”

個人の所得税の確定申告書は、“Individual income tax return”

です。


期中に、中間申告で納付した税金や源泉徴収された税金が、課税対象期間の所得に対して最終的に計算された納付すべき税金の金額よりも多かった場合、確定申告により税金が還付されて戻ってきますが、そうでない場合は確定申告により税金を納付しなくてはなりません。


期中で税金を納めすぎていて、確定申告により税金が還付される場合は、

 “Tax refund”

と言います。


今日は、会計事務所でよく使われる英語についてのお話でした。

************************************************************
小笠原会計事務所
公認会計士 税理士
小笠原 薫子
URL: http://ogasawara-accounting.my.coocan.jp
お問い合わせはこちらから↓
http://ogasawara-accounting.my.coocan.jp/index5f.html

************************************************************

« 2012年10月 | トップページ | 2012年12月 »