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2012年11月18日 (日)

外国人の税務~その3: 非居住者の税務②国内源泉所得の課税の仕方~

皆様、こんにちは。

前回ご説明いたしました通り、非居住者は、国内源泉所得のみについて課税されます。

ただ、所得の種類や、国内に恒久的施設(=Permanent Establishment, "PE")を有しているかどうか、により課税の仕方が異なってきます。


非居住者に対する課税の仕方の概要は、以下のようになります。

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(注1)措法§37の10の規定により、国内にPEを有する非居住者が行う株式等の譲渡による所得については、15%の税率で申告分離課税が適用されます。
なお、H21年1月1日からH25年12月31日までの上場株式等の譲渡による所得については7%の優遇税率が適用されます。

(注2)措法§41の9の規定により懸賞金付預貯金等の懸賞金等については、15%の税率で源泉分離課税が適用されます。

(注3)措法§41の12の規定により特定の割引債(特定短期公社債等一定のものを除く。)の償還差益については、18%(一部のものは16%)の税率で源泉分離課税が適用されます。

(注4)資産の所得のうち資産の譲渡による所得については、不動産の譲渡による所得及び令§291Ⅰ①~⑥に掲げるもののみ課税されます。

(注5)措法§37の12の規定により国内にPEを有しない者が行う株式等の譲渡による所得については、15%の税率で申告分離課税が適用されます。

(注6)措法§42の規定により特定の免税芸能法人等が得る対価については、15%の税率が適用されます。

(注7)措法§3及び§41の10の規定により国内にPEを有する者が得る利子等(4号所得)及び定期積金の給付補填金等(11号所得)については、15%の税率で源泉分離課税が適用されます。

(注8)措法§8の2の規定により、国内にPEを有する者が得る配当等(5号所得)のうち私募公社債等運用投資信託等の収益の分配に係る配当等については、15%の税率で源泉分離課税が適用されます。

(注9)旧措法§9の3の規定により、上場株式等に係る配当等(内国法人の発行済株式の総数又は出資額の5%以上に相当する数又は金額の株式又は出資を有する個人が支払を受けるものを除く。)、公募証券投資信託(公社債投資信託及び特定株式投資信託を除く。)の収益の分配に係る配当等及び特定投資法人の投資口の配当等については、H16年1月1日からH25年12月31日までの間は7%の優遇税率が適用され、H26年1月1日以降は15%の税率が適用されます。

(注10)措法§8の5の規定により国内にPEを有する者が得る配当等(源泉分離課税が適用されるものを除く。)については、確定申告による総合課税又は申告分離課税(H21年分以後)を受ける必要のないいわゆる配当所得の確定申告不要制度の適用が認められます。

(注11)措法§9の6の規定により外国特定目的信託の利益の分配及び外国特定投資信託の収益の分配については、内国法人から受ける剰余金の配当とみなされます。

(注12)法§5、§6の2、§6の3及び§7の規定により、法人課税信託の受託者は、その信託財産に帰せられる所得について、その信託された営業所(国内又は国外の別)に応じ、内国法人又は外国法人として所得税が課税されます。

(注13)措法§41の21の規定により、投資組合契約を締結している外国組合員でその投資組合契約に基づいて行う事業につき国内にPEを有する者のうち一定の要件を満たすものについては、特例適用申告書を提出することにより国内にPEを有しないものとみなされます。


※法: 所得税法
  令: 所得税法施行令
  措法: 租税特別措置法

 
 



非居住者が、日本国内に源泉のある給与所得、退職所得又は人的役務の提供による所得を有しているが、国外から給与が支払われている等の理由で所得税の源泉徴収(税率20%)が行われていない場合、準確定申告書(=Quasi Final-Return)を提出します。
提出期限は、確定申告書と同様、翌年の3月15日(3月15日が日曜日の場合には3月16日、土曜日の場合には3月17日が期限)となります。

準確定申告書の書式は、国税庁のHPにあります。
  ↓
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/1557_2.htm


●短期滞在者の減免

なお、上記の国内の所得税に関する規定をそのまま適用すると、外国人の方がビジネスで日本にほんの短期間滞在しただけであっても、日本では非居住者の国内源泉所得としてその部分が課税されることとなってしまいます。

そこで、租税条約は、一定の短期滞在者(日本の非居住者でかつ一方の締約国の居住者である個人)に関して定めを設け、人的役務の提供地である源泉地国(=この場合は日本)での課税を免除しています。

免税の要件は、各租税条約により若干異なりますので、各国との租税条約の内容を確認することが必要ですが、おおよそ以下のようになります。

①(この場合は日本における)滞在期間が、課税年度(=その年の1月1日~12月31日)或いは継続する12か月(=入国日から数えた12か月間)を通じて183日を超えないこと
←183日を超えるかどうかを判定する期間は、各租税条約により異なります。

②報酬を支払う雇用者は勤務が行われた締約国(=この場合は日本)の居住者ではないこと

③報酬が役務提供地(=この場合は日本)にあるPEによって負担(=付け替え)されないこと

です。


日本と租税条約を締結していない国では、短期滞在者の減免措置はありませんので、各ケースにおいて、租税条約が締結されているかどうかを確かめることが大切です。

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小笠原会計事務所
公認会計士 税理士
小笠原 薫子
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